オンライン講義のトピック(9)
愛教大のオンライン講義で、学生さんに向けてお話ししたトピックを紹介していきます。
協働事例 ~子どもと大人をつなげる~
子どもと大人をつなげたい、という思いでやっていた活動を2つ紹介します。
その2: 愛マップ・プロジェクト
ある日、関西大学社会安全学部の先生から、学校にこんな依頼が舞い込みました。
地域防災の研究に力を貸してほしい
その時点では、詳細は何もわかりません。
校長先生は、このままでは判断しかねると考えて、「一緒に話を聞いてもらえないか」と、PTAに打診してくださいました。
これまでに協働の活動を積み重ねてきた経験が、「よくわからないから一緒に考えてほしい」と校長先生に信頼してもらえる関係性につながっている、ということに感謝しました。
さて、これはどのような案件だったかというと
デジタル版の防災マップを作りたい
ということでした。
大きな災害が全国で起こり、各地域では「防災マップ」が作成されています。
しかしそのほとんどが「紙ベース」で、なおかつ情報の更新も頻繁には行われていません。
関西大学の城下先生は、それをデジタル化して、ネット上で誰でも見られるようにすれば、活用の幅が広がると考えておられて、そのための研究に力を貸してほしいということだったのです。
日本では初の取り組みであるため、とにかく進めながら作り上げていくという活動になりました。
具体的には、中学生が地域を歩いて、危険箇所がないかを確認しながら情報収集をし、その情報をデジタル地図上にまとめました。
この活動は、中学生が、防災を通じて地域に関心を持つきっかけになりました。
毎日使う通学路にも、いくつもの危険が潜んでいます。
しかし、「これは危険かもしれない」という視点を持っていないと、気付かずに通り過ぎてしまいます。
これは、私たち大人でも同じことですね。
日常に埋もれてしまって気付いていなかったことを、中学生の視点や、大学生の視点から気付かせてもらえました。
この活動も、PTAが中心となって、子どもたちのサポートをしました。
関西大学社会安全学部の学生さんもたくさん手伝いに参加してくれて、中学生と大学生の交流も生まれました。
子どもたちにとっては、家族以外の大人や、担任以外の先生、さらに遠く離れた地域の大人や学生と触れ合ったことで、少し視野が広がったのではないかと思っています。
大学の先生から、防災とは何か、なぜ必要なのかという講義を受けました。
大学生がお手伝いのために大阪から来てくれました。中学生と一緒に、まち歩き(地域を歩いて危険箇所を探す)をしました。
まち歩きの後は、学校に戻って記録を整理しました。地図に、撮ってきた写真とコメントを記入していきます。
まち歩きで得た情報をもとに「防災マップ」を作成しました。次年度には、これらの情報をデジタル上の地図に入力して、「愛マップ」(デジタル版防災マップ)を完成させました。