インクルーシブ教育のこと(4)
前回の記事で、学校に求められる「合理的配慮」について書きました。
インクルーシブ教育を行う上で求められている合理的配慮では、さまざまな環境整備が必要になります。
しかし、どこの学校でもそのような環境を整えることは、実際には難しいです。
例えば、車イスの子どものためにエレベーターを設置したり、スロープを設置する。また、医療のケアが必要なので看護師に常駐してもらう。
こうした環境整備のためにはたくさんお金がかかりますし、すぐに工事ができるわけではありませんね。
国もそこまで完璧な環境整備を求めているわけではありません。
大きな負担にならない程度に、ハード面では、設備を整備したり、教員の数を増やすことなどが想定されています。
またソフト面では、障がいの状況に合わせたカリキュラムや指導方法を考えて実施することなどが想定されています。
ですから学校では、ハード面とソフト面の両面で、可能な範囲で環境を整えることを考えて実施してくれている、ということですね。
学校がインクル―シブ教育の環境を整えてくれているということは、障がいのある子どもだけでなく、他の子どもたちにとっても、障がいが身近に感じられ、理解が深まるとてもよい機会になります。
インクルーシブ教育を推進しようという動きは、すでに何年も前から始まっています。
しかし、学校で先生からその言葉を聞くことはほとんどありません。
学校の立場からすると、学校内でやっていることなので、保護者や地域の人など学校の外部の人にことさら説明する必要はない、と思われているのかもしれませんね。
けれども、インクルーシブ教育で目指す共生社会は、学校の中だけで作れるものではありません。
社会の中で生きているすべての人々の力が必要です。
ですから私は、子どもに関わる大人たちも、インクルーシブ教育について知っておいた方がいいと考えています。
せっかくの取り組みを学校の中だけのものにしておくのは、もったいないことです。
学校がもっと開かれて、インクルーシブ教育をオープンにしてもらえたらいいですね。
それで大人も知るチャンスが増えて、関心を持つ人が増えるといいなと思います。