インクルーシブ教育のこと(5)
平等と公平
インクルーシブ教育では、障がいのある子どもが、学校教育から排除されず、自分の住む地域で他の子どもと平等に教育の機会を与えられることを求めています。
「平等に教育の機会を与えられること」というと、「とにかく学校に行くこと」に目が向きがちですが、それだけでは十分ではありません。
教育の機会の平等とともに「合理的配慮」も求められています。
以前の記事にも書いた「合理的配慮」について、わかりやすい画像があるので紹介します。
EQUALITYは「平等」、EQUITYは「公平」です。
http://madewithangus.com/portfolio/equality-vs-equity/
野球の試合を見たい3人がいますね。そして踏み台が3つあります。
左の図では、踏み台が「平等に」それぞれに1つずつ渡されました。
しかし、これでは一番背の低い子どもは、まだフェンスの向こうの野球の試合を見ることはできません。
それでは、右の図はどうでしょうか。
左の大人は踏み台がなくても、十分に試合を見ることができます。
ですから、その踏み台を一番小さな子どもに渡してあげれば、彼もフェンスの向こう側を見ることができました。
これが「公平」ということです。
ふだんあまり意識することなく、同じような意味として使ってしまいがちですが、「平等」と「公平」は違うのですね。
インクルーシブ教育においては、教育を受ける機会は平等であるべきですが、障がいのある子の場合、その程度はさまざまですから、何でも他の子と同じにすることが必ずしも大切というわけではないのです。
その子に合わせて、必要な支援をする「公平」が大切です。
これが、インクルーシブ教育における「合理的配慮」ということです。
障がいのあるなしに関わらず、子どもは一人一人みな違います。
百人百様の個々の状況に合わせた支援というのは、簡単なことではありません。
学校では、できるだけその子に合った環境が作れるようにと考えながら教育活動をしてくださっています。
先生方のご苦労を想像し、そうした姿勢に感謝を忘れずにいたいものですね。