「キャリア教育」のトピック(2)
大同大学「情報デザイン論」の中の「キャリア教育」で、学生さんにお話ししたトピックを紹介していきます。
スタッフの思い
先ほどもお話ししたように、残念ながら若い世代にはあまり人気のない製造業ですが、そこで働いている人たちの思いをお伝えしたいと思います。
うちの会社のスタッフに、仕事についての思いを自由に語ってもらったことがあります。
そのときに出た「製造業の良さ・やりがい」に関する意見を、いくつかご紹介します。
・頭で考えたことが、目の前でカタチになる醍醐味がある
モノづくりは、何もないところからスタートします。
自分で考えながら加工をして、最後はカタチとなって目の前に現れます。
自分のアイデアがカタチになると、達成感があります。
それが次の仕事へのモチベーションにつながります。
・ゴールに向かう道筋はいろいろあって、自分で自由に決められる
最終的にきちんとカタチになっていればよいのがモノづくりです。
そこにたどり着くまでに、どのような道を進むのかは自分で決められます。
もちろんオーソドックスな道もありますが、いろいろな工夫をしながら、自分で道を作ることもできます。
そこにおもしろさを感じます。
・チームワークの良さを実感できる
モノづくりには、たくさんの工程があります。
うちの会社の場合は、まず設計者が設計をし、それを部品ごとに機械加工して、最後にそれらを組付けて一つの金型に仕上げるという工程があります。
それぞれの工程でスタッフが仕事をしてくれるのですが、最終的に一つの金型にするためには、チームワークが欠かせません。
自分の担当の仕事の前と後に作業をしてくれる人がいる、ということを、常に考えて仕事をする必要があるのです。
チームで仕事をするということは、自分の仕事の役割が見えてくるということでもあります。
自分に任されている部分の大切さを実感できることも、やりがいにつながっているようです。
「毎日同じ作業の繰り返しでつまらない」と思われがちな製造業ですが、このようにスタッフはいろいろな良さややりがいを感じて仕事をしてくれています。
皆さんがこれから就く職業が何であっても、チームで仕事をすることになるだろうと思います。
「自分の仕事だけやっていればいいや」という姿勢ではなく、「自分の前と後にもこの仕事はつながっている」という意識を持って、前の人への感謝と、次の人への思いやりを忘れずにいてもらえるといいなと思っています。